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2008年07月24日

■松浦武四郎と北海道の山 


  (松浦武四郎が登った北海道駒ケ岳が表紙の=深田久弥「瀟洒なる自然」)


CLUBでモルトを愉しんでいると、
OKUSYU会員が、今年もカムイエクウチカウシへチャレンジしたいと話していた。
OKUSYU会員は昨夏ガイドツアーで、念願のカムイエクウチカウシ登頂を果たした。
ガイドツアーなので一般ルートとは異なり、
九の沢遡行で、相当難儀して足の爪を傷めたそうだ。

――九の沢は以前、出合より少し入って、雲行きが怪しくなり、逃げ帰った事があります。
――先週もトムラウシの途中まで、散歩してきました。

そんな話をすると、OKUSYU会員に、
――バイヤーはいつも「途中」までなのですね。と笑われた。
それについては、いろいろ理由があるが、ここでは差控える。

それできょうは、松浦武四郎の「途中」までの話。 

松浦武四郎(1818-1888)は幕末から明治にかけて、
蝦夷地を探査し、「北海道」という名前を考案したのを初めとして、
アイヌ語の地名をもとに、北海道の多くの地名を選定、
また、北海道から千島・樺太に及ぶ詳細な地名図、
【東西蝦夷山川地理取調図】を残した。

16歳で戸隠山へ登って以降、全国の山を歩いた事は、近代登山の魁と言われる。
日本百名山などのブームもあって、
近年、松浦武四郎を再発見・再評価するイベント等が各地で開催されている。

一方で、その「山行」や「紀行」など、
後で書いた、フィクションも含む、
日誌や紀行文を「史実」と受止めて、
事実とは異なる著述も世間には多いということだ。

松浦武四郎の、業績が明らかになる一方で、
日記の記述と、「日誌」や「紀行文」との、
時間的整合性への疑問も起こっているのだ・・・。

  ■『江戸明治の百名山を行く ―登山の先駆者 松浦武四郎―』 渡辺 隆著
     北海道出版企画センター 北方新書2007年刊 

渡辺氏の本は、それらの疑問点を、丹念に調べあげて、
事実の場所へと導いてくれる。
じつは昨日、松浦武四郎に、ちょっと興味を持って、書店の棚で、
目に付いた、下記の新書も買い求め、
同時進行で、北海道の山々を拾い読みしたわけだ。

  ■『松浦武四郎と江戸の百名山』 中村博男著
         平凡社新書 2006年刊  

こちらは、松浦武四郎と同郷の三重県出身の著者が、
「三重の三巨人」。芭蕉・宣長・武四郎という事で、
「北海道から九州まで各地の名峰を踏破した武四郎」にスポットを当てているのだが、
二冊の本を同時に読み進めば、
北海道の、ひと山ひと山、「ちょっと待てよ」と、立ち止まることになるわけだ。

松浦武四郎は、百名山の著者深田久弥と並んで、
偉大な登山の先駆者である事に変わりはない。

しかし、半世紀前に北海道の山を廻った、深田氏も、
さらに百年前の魁・武四郎に敬意を示す一方で、半ば疑問も持っていたことは、

  ■「日本百名山」或いは、
  ■「わが愛する山々」(後方羊蹄山=しりべし山)共に新潮社刊。

などで読み取れる。

武四郎の「後方羊蹄日誌」「久摺日誌」などは未見だが、
よく知られている北海道の山々を、
渡辺隆氏の労作による、丹念な道案内で逍遥すれば、
そして、5万分の一の地図を眺めれば、
渡辺隆氏の指摘されることは、いちいち納得がゆくのである。

「大雪山(石狩岳)」 「雌阿寒岳」 「後方羊蹄山」 「雷電山」 「豊似岳」。 
松浦武四郎はこれらの山々には、何れも登頂していない。

山頂までは究められなかったが、
アイヌから聞き調べた、蝦夷地内陸部に及ぶ調査で、
今日の北海道の、多くの地名はあきらかになった。

あわただしい調査の傍ら、
武四郎は、いつも雄峰の峰峰に立つことを「夢」見ていたことであろう。
しかし、あまりにも限られた登山に適する季節。
そして天候。時間的困難はじつに多い。
それで、後ろ髪を引かれるように、
多くの山行は「途中」で引き返さざるをえなかったことであろう。
そのつよい想いが、後の「日誌」に顕れたのであろうか。

武四郎が登頂した、北海道の千メートル以上の山は、
28歳の時に登った、渡島富士の「駒ケ岳」のみという事になる。



  






この記事へのコメント
僕は高校時代から山を始め、大学4年間はワンゲルだった。先輩一人、後輩一人を山で失った。自分も冬山で雪扇を踏み抜いた。だから山の怖さを十分理解し、今は辞めている。だから中途半端の怖さを理解してほしい。
Posted by 末席のメンバー at 2008年07月24日 23:25
バイヤーさま、いつも豊富な話題&素敵な写真をありがとうございます。
私でアクセス10070番目で何だか嬉しくなりました
本当は10000狙ってたんですけど(*^-^*)
Posted by ayako at 2008年07月25日 21:50